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やよい軒の秘密 10

実は、海外でも「YAYOI KEN」として知られています。

 私たちが日々の暮らしの中で当たり前のように親しんでいる「定食」が今、海を渡り、世界の人々を笑顔にする新しい食のスタンダードになろうとしています。やよい軒は、国内にとどまらず「YAYOI KEN」のブランド名で海外へも積極的に進出。アメリカ、インドネシア、オーストラリア、シンガポール、タイ、台湾、フィリピン、マレーシアなど、文化や言語の異なる多様なエリアで多くの人々に愛されています。目指すのは、日本の優れた食文化である定食を、寿司や天ぷらのように世界の共通言語「TEISHOKU」にすること。定食という箱庭に込められた日本の知恵と真心が、どのように国境を超えて世界中へと繋がり、響き合っているのか、その壮大な挑戦の物語を紐解きます。

 2013年、日本の「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、その健康的なバランスや美意識は世界中から高い評価を受けるようになりました。和食文化の特徴として「理想的な栄養バランス」が挙げられていますが、これを最も合理的かつ日常的に体験できるシステムこそが、ごはん、汁物、主菜、副菜が揃った「一汁三菜」の定食です。海外の多くの食文化では、大皿料理をシェアするか、ワンプレートで食事を完結させることが一般的。そのため、ひとつのお盆の上に多彩なおかずが美しく整列し、それぞれが異なる役割を持って調和している「TEISHOKU」のスタイルは、海外のお客様にとって非常に新鮮で、知的な驚きをもたらす食体験として受け入れられています。

 「YAYOI KEN」が海外の店舗で何よりも大切にしているのは、日本で培ってきた本物の品質をそのまま届けることです。和食の美味しさの根幹を支えるのは、昆布や鰹節から丁寧に引いただしがもたらす、うま味の文化。過剰な塩分や強すぎる調味料に頼るのではなく、素材本来の持ち味をだしのコクによって引き立てる技法は、健康志向が世界的に高まる現代において、非常に大きな強みとなっています。さらに、店内でこまめに炊き上げられる、艶やかで一粒一粒が立った日本の白米のおいしさ、そしてオーダーを受けてから最高の温度で仕上げる調理へのこだわりは、海外のお客様の心もしっかり掴んでいます。

 また、この挑戦は単に料理を売るだけでなく、日本独自の「おもてなしの心」を世界へと繋ぐ試みでもあります。言葉の壁を超えて、細やかな気配りや笑顔、清潔な空間を提供すること。そして、お腹いっぱい食べて心も体も満たされてほしいという温かな願い。これらは言葉や文化の壁を軽々と飛び越えて、現地のお客様の心を深く動かしています。お盆の上の美しい調和を通じて、異国にいながら日本の豊かな精神性に触れる。そんな特別な時間が、世界各地の「YAYOI KEN」のテーブルで毎日、何千何万と繰り返されています。